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景観まちづくりから地域コミュニティを考える(第2回)

2021年12月14日

景観まちづくりから地域コミュニティを考える(第2回)

11月26日(金)、筑波大学准教授の藤井さやか先生を招き、亀沢三丁目会館にて講演および意見交換会を行いました。

筑波大学藤井先生による講演

景観まちづくりを通じて地域コミュニティをはぐくむ

-「亀沢らしい」まちづくりに向けて-

筑波大学・藤井さやか

 

1.景観まちづくりとは

「景観まちづくり」というと、山や海などの美しい自然景観か、古都や宿場町といった歴史的景観だけのものと思われるかもしれませんが、私たちの日常にも大切な景観はあります。子どもたちの遊び場、近所の緑、祭りの会場、昔からある工場など、いつもの見慣れた風景を「生活景」とよびます。生活景は、そこに住む人々にとって、思い出や愛着の源となる大切なものです。いつもの景色を大切にすることは、まちの記憶を共有することになり、少しだけきれいに心地よくすることでまちの誇りが育ちます。生活景を守り育てることは、コミュニティをも育て、思いの詰まった景色は、そのまち「らしさ」となります。

 

2.景観まちづくりからコミュニティ形成へ

亀沢ではたくさんの方が地域の活動に参加され、しっかりしたコミュニティがあります。建替え調整協議会の60件を超える協議の積み重ねも大きな成果です。一方で、マンションが増える中、新規に入ってこられた方と長くお住いの方のつながりをどのようにつくっていくかが課題です。

ライフスタイルが変化し、価値観が多様化している中、均質的なコミュニティを目指すやり方には限界が来ています。地域に積極的に関わりたい人、自由に生活したい人、緩やかな活動をしたい人、こういった多様性を緩やかに受け止めながら、いろいろな距離感の関係性をつくれるコミュニティが求められています。

そういったコミュニティは強制参加では育ちません。気軽に楽しみながら参加できる場が必要です。そこでの共通の体験や記憶を増やしていくことで、広く深いつながりができ、新たなコミュニティが育っていきます。

 

3.これからの亀沢のまちづくりに向けて

景観まちづくりの活動の蓄積で、亀沢にとって相応しい景観の形が徐々に具体化してきています。協議のエピソードが増え、思い入れや記憶に残る場所も増えています。

次のステップでは、協議でみえてきた大切にしたい場所を、地域の皆さんに伝え、共有していくことが求められます。長くお住いの方だけでなく、新しく来られた方にも場のストーリーを伝え、関心を持っていただき、一緒に大切にしたい場所を増やしていきたいです。

また大きなお祭りだけでなく、新しい方も気軽に参加できるイベントや活動を通じて、まちの思い出を増やし、愛着を育てていくことも重要です。共通の思い出や記憶を増やし、多様な人が参加できるコミュニティをはぐくんでいくのが理想です。

 先日の意見交換会では、自動車中心となっている道路を歩きやすい道に生まれ変わらせる社会実験、緑が好きな人が集まって亀沢らしい植栽モデルを考える案、気軽に参加できてまちの一体意識を生むイベントなど、楽しいアイディアが出ています。景観を手掛かりに、亀沢のまちを素敵に育てる取り組みの展開に期待しています。

意見交換会

◎「道路」をテーマにした意見交換

【道路の役割の移り変わり】

自分が小さい頃はわざわざ公園まで行かずに家の前の広い道路で遊ぶことが多かった。遊び場としては格好の場所で、小さい頃は道路が自分の家の一部のような捉え方をしていたが、皆さんはどうでしょう?(男A)

私が小さい頃も道路で遊ぶことが多かったが、だんだんと自動車の交通量が増えてきた。かつては馬もいたんだけどね。(女B)

馬車も通っていたね。(男C)

鉄鋼業者さんたちの車の出入りが多くなり、それぞれの敷地から何メーターかは自分たちでお金を出し合い、道を整備していた。行政も割下水(現在の北斎通り)に注目してくれて、だんだんと整備されてきた。(女B)

 

【まちの美観を保つ】

北斎通りが象徴的かと思うが、亀沢は歩道が充実していると思う。単に道幅が広いだけでなく、植栽が整備されていたり、いい加減な駐輪も少ない。みんなが気を遣っている印象がある。(男A)

そのような意識はあると思う。道路は散らかしたり汚したりする場所ではなく、自分の家の周りは綺麗にしておきたいよね、という意識は皆さん強いのではないか。その延長に自分の街への愛情や誇りなどが出てくると思う。(男D)

仕事先が他の地域だが、亀沢とはゴミの出し方が違う。身の回りの道路に対し、自然と気を遣っているのだろう。(男D)

残念ながら沿道の植え込みにゴミを捨てる人がいる。気づいた際はなるべく掃除している。(女B)

でも、この街はゴミは少ない方だと思う。(男C)

少ない方ですね。(女B)

私なんかも拾っちゃうし。ゴミが落ちていると新たに捨てていかれやすい。常に綺麗にしておけばゴミを道路に捨てにくいよ。我々はそれが当たり前と思っているけど。(男C)

景観まちづくりの取り組みとして、建物だけではなく道路をいかに変えていけるかがまちにとって重要かもしれない(男D)

 

【歩道と車道の程良い配分は?】

最近は歩道が広いといっても、自転車の通行が怖い。ベルを鳴らせない規則があると思うが、突然後ろから来て通り抜けられるとヒヤっとする。(女B)

そうそう。(男C)

一方で、自転車に乗ると車道は自動車が怖く、幅広の一方通行の車道の端の方を走っている。万が一歩行者に自転車がぶつかった際はどちらも怪我しそう。(女B)

電動自転車は重いから、ぶつけられた方が怪我するよ。(男C)

区役所通りを先ほど歩いてきた。区役所通りは歩道が少し広がり植え込みが新しくでききて印象が変わってきた。整備前はコイン式駐車スペースがあり今は無くなっているが、道路に違法駐車され、自転車レーンを自転車が走れず残念な話をしていた。(男D)

車道幅が確保されているので、駐車スペースを所々に設けるか、自転車レーンをはっきり確保するか、歩道を広げるか、やり方は色々あると思う。(男D)

道路の使い方を変えましょうという議論は国でもしている。ニューヨークのタイムズスクエアでの実験例(自家用車およびバス・路面電車の公共交通を利用した場合の人ひとりが道路を占有するスペースの検討。公共交通を利用することで、道路内の車に必要なスペースが削減できる)など、車の通り方を工夫することで歩行者中心のスペースに変えられるということがあちこちで議論されている。(女E)

亀沢は碁盤目状に道路が整備されている。3車線くらいありそうな広い幅の真ん中を1台の車が走り、両脇のスペースは空いているよう道路が多くあり、少しの工夫で歩行者のスペースが広げられる箇所がいっぱいあると思う。植樹帯を設けずとも、半分程度でも歩行者のスペースにするような工夫をするだけでも安心して気持ちよく歩けたり、子どもが遊べたり、自転車と分けられたりすると思う。(女E)

昔は町工場が多くあり車の出入りが多かったが、少しずつマンションに変わりまちの雰囲気が変わってきた。道路をどう変えていくかという視点もまちづくりに必要なのかと思う。亀沢はほとんど平らで坂が少ないので、お年寄りや子ども連れが歩くのが楽だ。そのような中で歩道が充実すると、もっと歩きやすくなる気がする。(男D)

先ほどのタイムズスクエアの実験だが、今は車が入れないのか?(男F)

現在は車が入れない。当初は実験としてやっていたが上手くいき、周りの道にも渋滞を発生ないよう道路交通を工夫したので、現在は歩行者の通りに変わっている。(女E)

昼も夜も人が多いのですか?(女G)

とても多いです。(女E)

亀沢で、通りに人が多く滞在するような状況があるのかな。(女G)

ニューヨークと亀沢は一緒ではないが、歩行者が安心して歩ける状況になると、歩こうと思う人が増えますよね。(女E)

私はなるべく歩くようにしているが、買い物の際は荷物が多く自転車を使っている。自転車走行時は自動車が怖いが、ドライバーに聞いたら「自転車の方がよっぽど怖い」と。(女G)

どちらも怖いですよね。歩行者・自転車・自動車の道を分けたり、共存できるように速度制限を設けたりするやり方があり、まちによって違うと思う。おそらく、墨田区全体の道路の中では亀沢はかなり恵まれていると思う。だからこそ、工夫できる余地はありそう。(女E)

 

【道路の効果的な利用を考える】

区役所の方から亀沢へ自転車でやってくると、途中から快適になる。歩道が広くなると、椅子やテーブルを置いたりイベントを開いたりして歩きやすいまちになる。墨田区で直ぐに何か行う予定はないですが、亀沢はやり易い場所かと思います。(女H)

やってもらおうよ。(男C)

実験的にやれたら良いですね。(女H)

実験した結果が良かったら、墨田区全体に広げれば良いのでは?(男C)

長い目で見れば車は減っていき、自動運転も普及するので、将来的に歩行者優先の道路になっていくのかなと感じています。(女H)

ただ、仕事の関係により車で移動せざるを得ない業種もあるわけですよね。駐車場を確保して仕事をするのはとても大変だとよく言われます。(女G)

 

いま、この辺は空いている駐車場はないから。(女B)

全然無いね。(男C)

実際、コインパーキングが無くなったことへの行政への問い合わせが増えてます。(女H)

そうなのですか。(男C)

仕事で駐車したい場合、せいぜい5分ですよ。駐車場を探しても見つからないんですよ。みんなどうしているのだろう。建物ばかりになってしまう。(女G)

地区計画や集合住宅条例で、一定規模の建物には駐車場の附置義務があって駐車スペースが確保されています。(女H)

でも1台か2台でしょう?(男C)

そこは外部の人が使えるの?(女G)

基本的には建物利用者用です。(女H)

いま同愛記念病院が工事しているでしょう?あれがすごく影響ありますよ。朝早くあちこちから工事車両がやって来ます。(女G)

非道を広げて車道を狭くしても良いという意見がある一方、駐車スペースが足りないという意見がありますね。どうやって折り合いをつけるか。一日中停車している車もあれば、5分しか駐車しない車もある。まち全体の特色を見つめ直すと、駐車場やコインパーキングの配置だとか、路上駐車できるスペースを設けるとか、時間限定のパーキングとか、亀沢のような道路に余裕がある場所であれば実験的なことができるかもしれない。行政や警察の考えもあるだろうから、横断的に意見交換が出来ると良いでしょうね。(男D)

 

◎「みどり」をテーマにした意見交換

【落ち葉の処理をどうしたらよいか】

みどりの植え方などを効果的にするにはどうでしょうか。(男D)

住まいの近くのマンションに大木がある。落ち葉が一杯落ちる。(女G)

メタセコイアだと思う。(男D)

自分が掃除しても掃除しても大変だ。マンションに植える樹木として適しているのか。マンションのオーナーは「自分は専門家だから」という言い方をする。周りの方は大変迷惑なことだと思っている。(女G)

メタセコイアは、大横川親水公園にも植えてある。赤茶色になる。YKKの石原側にもある。あれはカットしてある。延びる木なので、大木になる。スペースと木のバランスを考えないと大変なことになる。また、YKKの南東にあった2本のケヤキを葉が落ちるので、切って、常緑のシマネトリコに植え替えた。YKKだからできるが、個人ではできない。みどりがあっていいねと感じますが・・・(男D)

落ち葉は毎年のことなので切ってもらいたいと言えないし・・・(女G)

木の手入れは大変だ。(女B)

マンションで掃除はしないの?(男C)

掃除しても間に合わない。(女G)

三丁目のモミジは、自転車が通れなかった。葉が散る時期と風の方向であんなに積もる。(女B)

植わっているのはよいが、ものによる。(女G)

難しいよね。(女B)

墨田区でも街路樹を減らしているところもある。手入れの問題等。緑を増やしたいという行政としての気持ちはある。(女H)

昔は、イチョウが街路樹だった。落ち葉が下水に入ってつまってしまう。イチョウはもう植えていないと聞いている。落ち葉が土に変えれば良いがそうならない。(女B)

今は公園にしかイチョウはないね。(男F)

 

【地元が植えたみどりについて区が一律に剪定してしまう】

亀沢一丁目の八角部屋の通りと野見宿祢神社のところにすてきな植栽があったが、区が抜いてしまった。(女G)

街路樹ですか。(女H)

低木。勝手ではないが、地元が植えた。歩道と車道のあいだのところ。植え替えている。何を植えると言っていたかな。(男C)

サツキです。全部かどうかわからないが、親水公園の清水橋の両側は植え替えが終わっている。(男D)

春と秋のクリーンキャンペーンの時、亀沢一丁目の町会では、北斎館のところまで、低木の部分を掻き出して掃除している。半年に1回しか掃除しないので、ゴミがひどい。(女G)

そういうことをやっていただいているので、亀沢の街はきれいになっていると思う。(女H)

いいなと思う木を区が抜いている。どういう基準なのかわからないが、買うどうしている側からいうといい木でも取ってしまうのかという感じ。余計なお金を使っているのではないか。(女G)

亀沢三丁目では、秋をイメージして木を植えている。さつきが植えてあるとなりの御影石に囲まれた中に、秋になると実がなる木が植えてある。区がさつきを剪定するときに、その木も一緒に選定してします。木が死んでしまう。しだれるような花が咲くが、ここの所1階も咲いたところを見たことがない。「これから花が咲くのよ」と業者に伝えても、切っていってしまう。区長にも出して、行政連絡員にも話したが、いっこうに現実を認めない。(女B)

 

【路地のみどりをつなぐ。適材適所のみどりを考える】

建替え調整会議では、みどりをどのように植えるのか協議している。理解している業者もいれば、みどりに無関心で植えればよいという業者もいる。せっかく自分たちがつくるマンションに、シンボルツリーあれば、マンションの価値も上がると思う。(女H)

今日歩いてみて、亀沢の路地は、それぞれの家で緑を植えている。それがつながっていくといいみどり感じになる。がっちりではなく、ルーズにグリーンがつながっていく路地がある。それを活かしてマンションができるといいなと思う。(男D)

植木や草花にはいろいろな種類がある。(女G)

三丁目では、お宅の家の前にこれを植えるけど良いかと1軒1軒聞いて回った。うちの前はやるという人もいた。(女B)

緑がつながるようにするには協定というか、この通りはこれが良いということをみんなで決めればきれいだと思う。がちゃがちゃだとどうかと思う。(女G)

緑が好きな人は、土を見るとなんでも植えてしまう。自由奔放になる。(女B)

自分は花が好きだ。でも適材適所がある。みんなが共有できるやり方をすれば抜群だと思う。バラバラ植えるのはよくない。そうなるとまた区が植え替えてしまうようになる。(女G)

 

【公共空間のみどり、緑視効果のあるみどりについて考える】

墨田区はみどりの考え方が貧弱である。建物の建替えの時だけでなく、街路樹を含めて、みどりについて亀沢ではこうしたいということをまとめていく活動を行う。自分の建物だけでなく、公共空間のみどりについてどうするのか、話し合うとよいのではないかと思う。(女I)

そうだと思う。(女B・G)

北斎通りにクスノキが植えてある。高木なるので、狭い通りでは植えられない。北斎通りだから植えられている。今日見たら、強剪定されていて、育たない様な切り方になっている。クスノキはこういう形になるようにしようとまちの人が知っていると、その切だと地域の人は納得できない。まちの共通のみどりのあり方を議論することが大事だと思う。(女I)

近所にカエデが植えてあって、紅葉の前に切ってしまう、紅葉を見たことがない。景観からみどりについて考えることができていない。墨田区では地球温暖化を抑えるために、緑化は考えられている。だから、屋上や面積という話になる。景観的なみどりの考え方が墨田区では乏しい。そこを先進的な亀沢では緑視効果があるようなものをつくったらよいと思う。(女I)

 

昔、区がみどりのプランターを配布してくれたとこがあった。文花の方の先生がかかわっていた。その花がいまだにある。あの頃は一生懸命やっていたのに、あれは何だったんだろうかと思う。(女G)

 

【緑を増やす段階から、景観のみどりを考える段階へ】

いま話があったように、墨田区はもともと緑が少なくて、とにかく緑を増やせ。住んでいる我々は豊かなみどりを知らないから、少しはみどりが増えたかもしれない。緑を如何に効果的に活かすかという第二段階に入らなければいけない。そのためには、我々も勉強して経験して議論する。景観のみどりや手入れの仕方など、皆さんと議論して、モデル地区になるぐらいのことをやってもよいと思う。それを理解する事業者が来れば、ますます効果的になると思う。(男D)

地元と区と業者が共有した考え方を持っておく、作っておくことが大事だと思う。クレーマーの言うとおりになることが多い。(女I)

 

【街路樹の種類を決める時には、地元の意見を反映してもらいたい】

街路樹の選定は、区の判断で全部決まるのか。(男F)

担当ではないので、区から委託業者に依頼している。(女H)

木の種類を業者が決めるのか。(男F)

設計のタイミングで、区の意見を反映して設計者と検討している。(女H)

石原の話であるが、落葉が迷惑で街路樹を切ってもらった。そのあとに、また同じものを植えた。住民の意思を反映されないで区が一方的に決める。そいうので良いのかという声を聞いた。街路樹について、どういうものを植えたらよいのか、一方的に区が決めるという時代ではない。町会など地元の意見を聞いた上で選定する。管理が安いということで決まるのかもしれないが、住民の意識を反映して決めてもらいたい。(男F)

◎「これからのまちづくり」をテーマにした意見交換           

【普通のまちで取り組む景観まちづくり】

亀沢のような普通の町で景観まちづくりをどのように進めていくか。京都や鎌倉みたいに「こういうのがあるから残そうね。」とは違う普通の町で何を手がかりに進めるか、そういう実例は、あまりないと思うのですが。(男D)

ゼロではないと思いますが、亀沢はかなりの先進事例かと思います。(女E)

そう言っていただくことはある意味心強いのですが、逆にどうやって進んだら良いかという課題が残ります。建替え調整協議会を立ち上げこれまでに60件積み上げてきました。さらに北斎まつりなど活動を広げて、若い人や初めて亀沢で暮らす人を町会やまちづくりの会に取り込む。具体的なご意見やアイデアがありましたら、お聞かせください。景観まちづくりと言いながらも、やっていることはコミュニティをどうするかということです。(男D)

下町に馴染みのない私の知人が、北斎通りを眺めて褒めてくださる。何が良いのか、私たちは見慣れてしまっているので気がつかないこともありますが、この町をもっと評価した方が良いのではないかと思います。(女B)

町会の行事を掲示板に張り出しますが、それを見ているかどうかわからないです。私は、「これ来てね。」と一言、言いますけどね。それがコミュニケーションかもしれない。もしかしたら、マンションにもお祭り好きな人もいるかもしれないし、そういう人は確かに参加してくれます。直接誘って声をかけてあげないとだめだということもあるし、私もそういうことができたらいいと思います。(女G)

保育園にお母さんが子どもを連れてくる。ぐずっている子どもがいると必ず声をかけてあげる。「おはよう」とか、「パパと一緒でいいね。」とか言うようにしています。そういうことの積み重ねが必要と思います。(女B)

子ども会とか、小学校、幼稚園の延長で、ひとつのコミュニティとかサークルが出来ていくのですね。単純に家族というくくりで整理できない多様な人たちがいますし、そういう中でうまくコミュニケーションをとって何かできる糸口になってくる。(男D)

朝の挨拶って気持ちがいいじゃないですか。私が掃除をしていると話しかけてくる人がいますよ。そうすると私も嬉しいから。(女G)

 

【北斎ブルーでまちの一体感を表現】

牛嶋神社の祭礼のときに半纏を着ますよね。みんな町会会員なのですか。(女I)

必ずしも町会員ではないです。町会の人を知っていて、町会員の紹介で神輿を担ぎにやってくる。(男C)

町会費を払っている人は町会員だから、当然神輿を担げる。そういうことをもっと宣伝したいですね。神輿を担ぐという最高の場です。そのような晴れの日をもうすこし増やしても良いかなと。例えば、北斎まつりなどで北斎ブルーの暖簾をバルコニーに皆でかけるとか、そういう一体感を北斎ブルーで出すとか、簡単にやれるのでは。(女I)

これは祭礼の写真で、三ツ目通りでの神輿合わせです。通行止にして、亀沢三、四と石原三、四の神輿を合わせる。一年に一度あそこが晴れの舞台になる。この中には町会員以外の人が大勢いるわけで、このように町会の半纏を借りて祭礼に参加します。一体感とか地域の意識を持てるようなイベントが色々あると良いですね。ブルーの北斎祭りのフラッグを北斎通りの両側の街灯に合計100枚下げただけで、まちの景観がものすごく変わりました。(男D)

あんなに景観的な効果があるのかと。何か町が賑わうのです。街灯だけでなく、マンションのバルコニーにかけるとか、町中をブルーにしてしまうとすごく感激します。そういう晴れの日をうまくつくって、このまちは面白いなと思うと参加の意識が高まります。(女I)

 

【暮らしの中での取り組み】

弘前からねぷたが来てくれるのだから、何かそれに応えるとはそういうことかな。こっちも何かを表したいですね。(女G)

あそこに行って、弘前ねぷたをみてきたよと言ってくれる人たちが大勢いました。渡辺パイプに飾ってあって見てきましたとか。(女B)

渡辺パイプの吹き抜けのスペースは、建替え調整協議会でお願いして作っていただいた経緯もあり、我々もそれをうまく使っていく。そのようにまちから発信して、みんなが関心を持つ。そういうことをうまく積み重ねて町会やまちづくりの会の活動が見えてくると、いろいろな人が興味を持ってくれます。(男D)

亀三で学習塾をやっている方は、イベント好きで亀沢が好きで、塾をひらきました。必ず、イベントの好きな人は町にいます。(女B)

晴れの日とか、イベントは大事ですね。せっかく、北斎と縁があるまちだから。(男F)

浦和レッズの試合のある日に浦和に行くと、バルコニーに赤いタオルなどかけてあり道が賑やかになり、町に来る人を歓迎していることが現れています。また、地方の観光列車に乗ると、バルコニーや窓から列車に旗や手を降ったりして、電車に合わせて町の住民がアピールしてくれたりとか、大漁旗を降ったりとか。そういうのは歓迎されているようで、とても嬉しい気持ちになります。(女H)

派手なことやむずかしいことではないけれど大事なことで、まちに関心のない人も気づきのきっかけになったりします。賑わいは見えるのできっかけになりますね。(女I)

あまり力まないで、普通の生活の延長でできることを考えてやってみる。その積み重ねが、みんなの意識を変えていくようです。いろいろ多方面に広がって、まとまりのない話に予想通りなったかと反省していますが、こういう意見交換はこれまでやりませんでした。このような機会があると、みなさんからいろいろなアイデアやヒントをいただけると思いますし、こんなことをやろうということが生まれてくると思います。藤井先生、申し訳ありませんが最後にまとめていただくとありがたいのですが。(男D)

◎まとめ

皆さんのお話を伺って、三つ、おもしろく取り組めそうなものがありました。まずブルーの布のようなものはとても素敵な案ですね。ぜひ実現していただきたいと思います。気軽に大勢の方に参加いただけて、変化がはっきり目にみえるアイディアなので、とてもよいと思います。それをきっかけに、新しい方にも声をかけやすくなりますので、ぜひやって欲しいです。二つ目は緑の話です。こちらは少し手がかかるかもしれませんが、景観まちづくりの次のステップとして取り組めるとよいと思います。いきなり公共空間の緑をしっかりと管理・維持していこうというのは、手間も時間もかかるので、それくらい大きな取り組みを目指しつつも、小規模な緑から考えていくとよいと思います。マンションの協議会の際に、緑に焦点を当てて議論を繰り返し、亀沢にふさわしい緑のあり方が整理されてくると、亀沢版の緑のガイドラインのような形で整理ができ、効果が上がってくると思います。最後は道の話です。道路を使うアイディアは全国で進んできていますが、多くのまちでは交通の問題で実現が難しいのです。でも亀沢では道路が格子状に通っていて、代わりの道があるので、一時的な通行止めや、歩道空間を広く取り、車道幅を狭くすることもできると思います。警察との調整など大変ではありますが、亀沢だったらできると思います。北斎祭りのような大掛かりなことばかりでなく、家の前の道でどんな道の使い方ができるか意見交換しながらやってみる。道路が楽しい空間となる体験をしてみると、次の景色が見えてくると思います。(藤井先生)

亀沢では他の道を迂回するのは比較的容易ですし、すでに葬儀に限らず祭礼などでも経験しているので、それを少し拡大して子供たちのスペースとすることも可能ですね。(女I)

神楽坂では道を止めて道路に白い紙を敷いて、誰でも絵を自由に描くということを年に1回ぐらいずつやっていますね。(女H)

ひとつは北斎ブルーをシンボルカラーにして使っていく。それから身近な緑をもう一度考えていく。それがガイドライン的なものに向かっていくと良い。そして、道については亀沢だからできる道の使い方の実験ができる。イベントと絡めて上手に道を使う試みを考えよう。以上の三つのことが、今日の意見交換会の成果ですね。わかりやすくまとめていただき、藤井先生ありがとうございました。(男D)

参加者:藤井先生、遠藤氏、佐藤氏、本間、霜鳥、安斎、鈴木、須田、岸、村上、堀川、富岡